2025年AI利用の振り返り

目次
AIが単なる「流行」から「社会のOS(基盤)」へ
この2025年はAIが単なる「流行」から「社会のOS(基盤)」へと脱皮した、歴史的な転換点となりました。
2025年のAI利用における主要なトレンドとトピックを振り返ります。
1. 「チャット」から「エージェント」への進化
2024年まではAIと「会話」することが中心でしたが、2025年はAIがユーザーに代わって「行動」するAIエージェントの年でした。
- PC操作の代行: Anthropicの「Computer Use」やOpenAIの「Atlas(Operator)」、Googleの「Gemini 3」の登場により、AIがブラウザやExcelを直接操作し、航空券の予約や複雑なデータ集計を自律的にこなすようになりました。
- 推論能力の飛躍: OpenAI o1シリーズやClaude 3.7、DeepSeek-R1などが「考えるAI」として定着。答えを出す前に「思考のプロセス」を経ることで、数学やプログラミング、科学研究における信頼性が劇的に向上しました。
2. 実務・産業への深い浸透
「とりあえず使ってみる」フェーズが終わり、企業の基幹業務に組み込まれるケースが急増しました。
- 資料作成の自動化: GoogleのNotebookLMなどがスライド生成機能を強化し、ホワイトカラーの「資料作成に費やす時間」が大幅に削減されました。
- 日本企業の活用事例:
- セブン-イレブン: 商品企画期間を10分の1に短縮。
- 伊藤園: AIタレントを起用したCMが一般化。
- 製造・建築: 熟練工の技術継承や、スケッチからのデザイン生成にAIが本格導入されました。
3. 物理世界への進出(フィジカルAI)
ソフトウェアの世界に留まっていたAIが、物理的な実体を伴って動き出しました。
- ロボティクスとの融合: NVIDIAと日立の連携など、工場や鉄道メンテナンスで「動くAI」の導入が進みました。
- インフラとしてのAI: Microsoftによる原子力発電所の再稼働支援や、数兆円規模のデータセンター投資(Stargateプロジェクトなど)が話題となり、AIは「電力とコンピューティング資源」という国家レベルの物理インフラ問題へと発展しました。
4. 光と影:規制とリスクの顕在化
利用が広がる一方で、深刻な課題も浮き彫りになりました。
- フェイクコンテンツ: SNSでの政治的な偽情報や、生成AIを悪用したサイバー攻撃が急増。これに対抗するため、日本でも「AI推進」と「規制」のバランスを取るための法整備(AI基本法など)が加速しました。
- ウェブエコシステムの変容: Google検索などの「ゼロクリック検索(検索結果のAI要約だけで完結し、元のサイトへ飛ばない)」が6割を超え、メディアやクリエイターの収益モデルが根底から揺らぎました。
まとめ:2025年の位置づけ
2025年は、AIが「便利な道具」から「自律的なパートナー」へと昇格した年と言えます。
2026年に向けての展望 今後は、AIが「数日単位」で自律的にタスクをこなし続けるようになり、人間は「何を作るか」「どう判断するか」という、より本質的な創造性と責任を問われるフェーズに入っていくでしょう。
2025年AI動画・コーディング進化の振り返り
2025年は、AIが単なる「便利な道具」から「自律的なパートナー」へと進化した転換点として記憶される年になりました。特に動画生成AIとコーディングエージェントの分野では、技術的な限界(一貫性の欠如や単純なコード補完など)を突破し、実務レベルでの「自律化」が加速しました。
2025年の主要な動向を振り返ります。
1. 動画生成AI:プロ品質と「一貫性」の実現
2024年までの動画生成AIは「数秒の不思議な映像」を作る段階でしたが、2025年は映画やCMの制作プロセスを根本から変える進化を遂げました。
- 物理法則と一貫性の克服: OpenAIの Sora の一般開放に加え、Runwayの Gen-4 やLumaの Dream Machine 2 等が登場。キャラクターの顔や服装がシーンを跨いでも変わらない「一貫性」が完全に解消されました。
- 「CM・映画品質」への到達: 1分を超える長尺動画や、物理シミュレーションに基づいた自然な動きが可能になり、実写と見分けがつかないレベルに。制作コストが1/10以下になる事例も相次ぎました。
- マルチモーダル編集: Googleの Veo 3 に代表されるように、映像だけでなく環境音や効果音、BGMまでもが映像の内容に完全に同期して生成されるようになりました。
- オープンソースの躍進: Alibabaの Wan などの高性能なオープンソースモデルが登場し、ローカル環境での高品質な動画生成が一般化しました。
2. コーディングエージェント:「補完」から「自律」へ
エンジニアの仕事は「コードを書くこと」から「エージェントを指揮すること」へと大きくシフトしました。
- 推論モデルの統合: OpenAI o1 や Claude 3.7、DeepSeek-R1 といった「熟考型」の推論モデルが、GitHub CopilotやCursorなどのツールに深く統合されました。これにより、複雑なロジックのバグ修正やリファクタリングの成功率が飛躍的に向上しました。
- Agentic Workflowの普及: 単一の指示でコードを書くだけでなく、エージェントが自ら「要件定義 → 設計 → 実装 → テスト → 修正」というサイクルを自律的に回すようになりました。
- コンピュータ操作の代行 (Computer Use): Anthropicの Computer Use やOpenAIの Atlas により、AIがブラウザやターミナル、IDEを人間のように操作して環境構築からデプロイまでを完結させる「エージェント・エンジニアリング」が確立されました。
- GitHub Copilotの進化: 「Agent Skills」や「Copilot Memory」により、プロジェクト固有の設計規約や過去の文脈を学習した、チーム専用の自律型エージェントへと進化しました。
3. 2025年の総括と2026年への展望
2025年は「AIが人間を助ける」段階から、「AIが主体となってプロセスを回し、人間がレビューする」段階へと明確に移り変わりました。
| 分野 | 2024年末の状態 | 2025年末の状態 |
| 動画生成 | 5-10秒、ガチャ要素が強い | 数分間、一貫性あり、音響同期 |
| コーディング | 数行の補完、単発のチャット | プロジェクト全体の自律的な管理・実装 |
| AIの役割 | ツール (Tool) | エージェント (Agent) |
2026年への視点: > 2026年は、これらのエージェントが「数日単位」で自律稼働する時代になると予測されています。人間には、AIが出力した膨大な成果物(コードや映像)の「品質の最終判断」と、そもそも「何を作るべきか」という上位の戦略を立てる能力がより一層求められるようになります。
Sora 動画生成AI
2025年現在、Soraは一部のクリエイターやテスター向けに公開が始まっていますが、一般ユーザーが利用するにはいくつかのステップや注意点があります。現在の状況を整理して解説します。
1. Sora を使うための主なルート
現在、Soraは主にOpenAIの新しいサブスクリプションプラン、もしくは制作ツール経由で利用可能です。
OpenAI 公式(ChatGPT / Sora.com)
OpenAIは、月額200ドルの新プラン「ChatGPT Pro」を発表しました。このプランに加入することで、Soraにアクセスできるようになります。
- 場所: sora.com または ChatGPTのインターフェース内。
- 特徴: 高品質な動画(最大1080p)の生成、プロンプトによる詳細な指示が可能。
クリエイター向け先行アクセス
一部の映像制作会社やアーティストは、OpenAIから直接招待を受ける形で利用しています。一般公開の範囲は順次拡大されています。
2. 基本的な使い方の流れ
Soraの操作は、画像生成AI(DALL-E 3など)と似ており、非常にシンプルです。
- プロンプトを入力する 「雪の降る東京を歩く猫」のように、動画の内容をテキストで詳しく記述します。
- 設定を調整する 解像度、アスペクト比(16:9 や 9:16)、動画の長さなどを選択します。
- 生成・編集する 生成された動画に対して、「もっと明るくして」「カメラをズームして」といった追加の指示を出して微調整(リピイント)することも可能です。
3. Sora でできること(主な機能)
Soraは単にテキストから動画を作るだけでなく、以下のような高度な編集も得意としています。
- テキストから動画生成 (Text-to-Video): 文字から最大1分程度の動画を作成。
- 画像から動画生成 (Image-to-Video): 静止画をアップロードし、それに動きをつける。
- 動画の拡張: 既存の動画の前後の時間を生成して伸ばす。
- スタイルの変更: 元の動画の背景や雰囲気をガラッと変える。
4. 利用する際の注意点
- 料金: 現在は高額な「ChatGPT Pro」プランがメインのため、一般の無料ユーザーや Plus ユーザーが自由に使える段階ではありません。
- 生成時間: 高度な計算が必要なため、1つの動画を作るのに数分〜数十分かかる場合があります。
- 規約: 性的、暴力的、または政治的なコンテンツの生成には厳しい制限があります。



